障害者アートもっと使って デザイナー集い米子に団体
山陰中央新報 2024年5月16日(木)
鳥取県内の障害者支援施設などの創作活動で生まれたアート作品から独自のパターン(模様、柄)やフォント(書体)を制作し、企業活動などで使ってもらうプロジェクトを展開する山陰両県のデザイナー有志が4月、実動組織として一般社団法人を設立した。プロのデザイン力やプロモーション力を生かして福祉とビジネスをつなぎ、収益の一部を還元して工賃アップにつなげる。 (吉川真人)
法人は2023年5月に始まった「山陰ご当地フォトプロジェクト」の実行委員会を改編した「COOD CREATORS(クッド クリエーターズ)」。日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)の会員ら16人が立ち上げた。米子市両三柳の広告代理店あっぷるはうすに事務局を置く。
障害者の創作活動を支援するあいサポート・アートセンター(倉吉市福庭町)と連携し、県内の障害者支援施設や就労継続支援B型作業所など6施設の入所者らが描いた独創的で色彩豊かな作品を基に、パターン45種類、フォント1種類を制作。全てデジタルデータ化し、気に入ったデザインを活用してもらうよう企業や自治体などに売り込む。
同センターによると、障害者芸術文化促進法などに基づく創作支援の枠組みはあったが、作品の販売や収益につながる取り組みは広がっていない。商品化のノウハウ、企業との折衝など施設側が不得手な部分をプロのデザイナーが担い、チームで支援するのは全国でも珍しく、期待も大きい。
法人設立に先立ち、3月下旬には活用の第1弾として、パターン40作品を使ったカラフルなパネル装飾で鳥取県庁の障がい者福祉課フロアの壁面が彩られた。今後、アート作品のレンタル、活用事例を知ってもらう商品サンプルのギャラリー開設などの計画もある。
法人名は一緒により良い社会をつくる願いを込め、「共に」「共創」を意味する「CO」と「グッド」を組み合わせた造語。遠藤亨代表理事(あっぷるはうす社長)は「面白い絵はまだまだたくさんある。新作も発表し、施設利用者の工賃が低い課題や将来の不安を少しでも解決していきたい」と話した。
https://www.wam.go.jp/newsPublic/sp_public-detail?newsno=1911